更年期に入って卵巣の働きが低下すると、そんな卵巣をなんとか機能させようと、卵巣の働きをコントロールしている脳の視床下部が過剰に反応して混乱状態に陥ってしまいます。脳の視床下部は自律神経の働きをコントロールする役割もあるため、更年期に入ると自律神経のバランスが乱れやすくなります。
この自律神経のバランスの乱れに伴い、さまざまな不調を感じることがあります。これらの不調を「更年期症状」と呼びますが、日常生活に支障が出るほど症状が強い場合は、「更年期障害」呼ばれることがあります。
更年期症状・更年期障害の症状は、肩こりや腰痛、頭痛やめまい、ほてり、発汗などの身体的なトラブルに加えて、イライラする・憂うつになるなど、精神的なトラブルに発展するケースもあります。この精神的なトラブルは、仕事や家庭の悩みと重なって心の負担が増えてしまうと、うつ病などに発展する可能性もあるので注意しましょう。
また、女性は閉経を迎える前後から、骨粗鬆症、脂質異常、高血圧、糖尿病、動脈硬化など、加齢による病気の発症リスクが高まります。エストロゲンは体内で血管壁の柔軟性を維持し、骨の強度を守る働きをしています。閉経前後にこのエストロゲンが減少することで、骨密度減少や血圧の変動、LDLコレステロール(悪玉)の上昇などが起こりやすくなるのです。
食事や運動などの生活習慣を見直すことで長期的な疾患や身体機能の低下を予防し、「より質の高い生活」ができるように心がけましょう。